IR(統合型リゾート)とは?日本でのカジノ解禁

日本初となるIR(統合型リゾート)が2030年秋頃を目途に創設されることになりました。IRにはカジノ施設ができることが話題となり、カジノに対してネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。しかし、IRには高い経済波及効果が期待でき、カジノ収益は地元の活性化や新たな財源となり、地元に還元されます。本記事では、IRとは何か?カジノで見込める経済効果や海外のカジノについて解説します。
この記事を書いた人: 伊藤めぐみ | ファクトチェック: Fintan Costello · 最終更新日: · 広告の情報開示
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IR(統合型リゾート)とは?

IR(Integrated Resort)とは、カジノ施設を含む、国際展示会場や会議場、ホテル、レストランといった観光特定複合観光施設を指し、統合型リゾートとも呼ばれます。

世界にはラスベガスをはじめ、マカオやシンガポール、韓国、米国のニュージャージー州にIR施設が設けられています。日本がIRモデルの一つとしているのがシンガポールで、開業後4年で、国全体の観光客数が6割、観光収?が9割増加。小国ながら観光大国として経済的成功を収めています。

IRに設立される日本最大級の国際展示会場や会議場には維持?管理費用がかかります。国の管理下で運営されるカジノ事業の収益を財源として、IRの運営に充てるとされています。

カジノ法案

IR開業に向けて、政府では健全なカジノ事業に向けてカジノ規制の実施に取り組んでいます。

統合型リゾート(IR)実施法

2018年7月、日本で「特定複合観光施設区域整備法」(通称:IR実施法、カジノ実施法)が制定されました。同法により、日本で初めて民間賭博が公認され、民間事業者が営利目的でギャンブル事業を営むことが認められることになりました。
具体的なカジノ法案のポイントについて見ていきましょう。

タイムライン形式で配置されたアイコンとテキストで、日本のカジノ構想の進捗と主要なマイルストーンを表しています。

最大3カ所のIR区域

日本では、全国で所ま最大3カでをIR区域として定められています。すでに大阪府?市が日本初となるIR開業地として政府に認定されました。候補地として、長崎も事業計画を申請していましたが、資金確保に課題があるとして見送りとなりました。長崎県には計画の見直しが求められています。

入場管理

2020年1月に発足されたカジノ管理委員会では、厳格な入場管理が定められています。
20歳未満の者の入場禁止や、日本人や日本在住の外国人に対しては入場料6,000円が課せられます。さらに、入場時には入場禁止対象者でないことをマイナンバーカードで本人確認が実施されます。

依存防止対策として入場には回数制限が設けられ、7日間で3日間、28日間で10回まで制限されます。

カジノ税

特定複合観光施設区域整備法では、いわゆる「カジノ税」として、カジノ事業者に対してカジノ収入の15%を国庫納付金、15%を都道府県納付金として納付が義務付けられます。

カジノ実施の内容を概説し、利益の割合、参加人数の制限、営業時間、及び入場料に関する情報を図とテキストで示しています。

カジノの経済効果

国を挙げて邁進されているIRですが、カジノ開業における経済効果はどの程度期待できるのでしょうか?開業が決定した大阪を例に見ていきましょう。

地域の活性化

IRの最大の目的は、諸外国に負けないような観光施設を設け、訪日外国人客を呼び寄せる経済波及効果です。大阪は観光産業に今後も将来性があり、世界最高水準のIR施設を設けることでさらなる観光産業の成長や地域経済の振興が期待できます。

雇用の創出

IR施設の建設時において、経済波及効果は約1兆9,100億円、約14.0万人の雇用創出効果が見込まれています。毎年の経済波及効果は、約1兆1,400億円、約9.3万人の雇用創出効果を見込み、IR施設においても、新たに約1.5万人の雇用が見込まれています。
IR設立における雇用の創出は大幅に増加すると考えてよいでしょう。

カジノ税収入

先述したように、カジノ施設への入場には日本人や国内在住の外国人に対して6,000円の入場料がかかります。この入場料や、カジノ事業者の収益の30%が国や都道府県に納付されます。

大阪はカジノ税収入を新たな財源として、住民に増税の負担を課すことなく、社会福祉の増進や大阪の成長に向けて活用することができます。

大阪IR(統合型リゾート施設)

2023年4月、大阪府?市が日本初のIRとして政府に承認されました。同年12月より、大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)にて液状化対策工事が着工されました。

大阪IRの資金調達総額は約1兆2,700億円。合同会社日本MGMリゾーツ?オリックス株式会社、関西地元企業等20社から約57%にあたる約7,200億円、金融機関より約43%にあたる約5,500億円を調達する予定とされています。

大阪IRは2030年秋頃の開業が予定されています。

日本国内で最大3カ所のIR

先述したように、カジノ法案にて全国で最大3カ所までがIR区域として認められることになりました。
IR整備法の区域整備計画の認定申請は2022年4月28日が締め切りでしたが、認定申請した自治体は、大阪と長崎の2カ所にとどまりました。

IR誘致には和歌山県も挙手していましたが、議会の賛成を得られず撤退となり、3枠の枠を満たさない結果となりました。

海外のカジノモデル

世界では、201カ国?地域のうち、127カ国?地域でカジノが合法化されています。先進諸国G7(日本、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア)のうち、日本以外の6カ国はカジノは解禁されています。
ここでは、日本がカジノ開業に向けてモデルとする3カ国について解説します。

シンガポール

シンガポールでは2005年にカジノが解禁に、2010年に巨大カジノリゾート施設「マリーナベイ?サンズ」が開業しました。
シンガポールは開業後4年で国全体の観光客数が6割、観光収?が9割増加。カジノ施設の収益によって財政の改善にも寄与しています。

ラスベガス

米国?ネバダ州にあるラスベガスでは、1869年に賭博が合法化。現在では世界屈指のカジノ街として知られています。
ラスベガスの市場規模は119億米ドル(約1.3兆円)に上ります。収益構造はカジノ34.4%、ホテル26.1%、その他39.5%で、カジノの収益は全体の約3割ほどとなっています。

マカオ

「東洋のラスベガス」とも呼ばれるマカオでは、1847年にポルトガル政府によって賭博が合法化されました。2018年時点では、6社のIR事業者が17のIR施設を運営しています。
マカオではで2015年に開業した。スタジオシティ (Studio City) の開発で約3,870億円(2015年レート:1?ドル121円で換算)の民間投資が実現しています。

大阪IRの強み、他のアジア諸国の違いとは?

カジノ売上規模世界一のマカオと比較して、大阪は大きな優位性があります。
特に関西圏には関西国際空港や大阪国際空港など国際的空港が3つあり、訪日外国人にとっては利便性が高く、大きなアドバンテージと言えます。

利便性のみならず、大阪を含む関西7府県には、歴史的建造物や神社仏閣があり、観光資源の豊富さが強みと言えます。大阪IRが日本観光の玄関口となり、関西圏のみならず日本全国へ観光客の送り出しの役目を担うことが期待できるでしょう。

さらに、大阪府立国際会議場、インテックス大阪といったMICE(マイス)施設※ を所有しており、これまでにも多くのMICE開催実績があります。

大阪は、世界最高水準のIRを目標に掲げています。
現状、大阪に不足している会議場?展示場、宿泊施設、エンターテイメント?商業施設等が一体的に整備?運営されるオールインワンの大型MICE拠点の形成し、IR開業に合わせたMICE拠点を新設される予定です。

MICE開催前後を含めた観光や宿泊需要が見込め、周辺地域への高い経済波及効果が期待できます。

※MICE(マイス)施設:Meeting(会議)、Incentive Travel(研修旅行)、Convention(政府主催会議)、Exhibition / Event(展示会)の頭文字から成るビジネスイベントの総称。

カジノが儲かる仕組みとは?

カジノ企業がどのように収益を上げているのか疑問に思ったことはありませんか?
カジノ事業は、運営者が儲かるような仕組みが構築されています。

その仕組みは「ハウスエッジ (House Edge) 」と呼ばれるもので、ある賭け毎に取られる手数料(控除率)を意味します。ハウスエッジはプレーヤーがカジノ運営側に払う手数料で、カジノ側に確実な収益を保証する仕組みです。

このハウスエッジが低いほど、プレーヤーに戻るお金が多くなり、ハウスエッジが高くなるほどカジノ側が有利になります。

日本のカジノの今後:2030年 大阪IR開業

大阪のIR開業は、2030年(令和12年)の秋ごろが見込まれています。
2023年12月には開業地である夢洲の地盤の液状化対策工事が開始されており、2025年春ごろには施設の建設工事に着手される予定です。

政府によるIR計画の認定の遅れや、資材高騰による投資費用の増額、2025年に開催される大阪万博との会場建設工事と時期が重なるなど懸念点も多いですが、IR開業は着々と開業に向けて進み始めています。

まとめ

IR=カジノ、という印象が持たれがちな大阪IRですが、MICEや宿泊施設などカジノ以外の施設も多く建設され、大阪IRは新たな日本の観光ゲートウェイとして多くの可能性に満ちています。地域観光にも大きな経済波及効果が期待できるIR大阪開業に、今後も期待していきたいですね。

出典:

NHK「大阪 夢洲 IR予定地で地盤の液状化対策工事始まる」
観光庁「九州?長崎特定複合観光施設区域整備計画について」
首相官邸ホームページ「諸外国におけるIRについて」
みずほ総合研究所株式会社「アジア近隣諸国をはじめとする世界各国のIRにおける経営戦略等及び再投資に関する事例調査報告書【概要版】」
大阪府「統合型リゾート(IR)立地による影響調査調査報告書 本編」
大阪府「大阪IR基本構想 【概要版】」
ダイヤモンドオンライン「大阪IRの強みはカジノのみにあらず、世界的リゾート企業の会長が語る」
日本経済新聞
カジノ管理委員会
平成三十年法律第八十号 特定複合観光施設区域整備法
大阪府

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この記事を書いた人
BonusFinder Japan 編集長

BonusFinderの編集長、伊藤めぐみです。アメリカの大学でコンピューターサイエンスの修士号とマーケティングの博士号を取得し、ヨーロッパのオンラインカジノでマーケティングを担当していました。2007年からカジノの業界で働いており、BonusFinderではオンラインカジノの専門家として、カジノのレビューやコンテンツの品質管理責任者を担当しています。